2014年10月22日水曜日

インスリンの皮下注射後揉むか揉まないか

動画 34 注射法 「皮内 皮下 筋肉 静脈内 注射後もむ?もまない?」

http://youtu.be/mVmelL7Fge8


この動画の回での

皮下注射後、揉むか揉まないか

について補足したいと思います。


単純に皮下注射といっても様々な薬剤の投与があります。
あくまでメヂカルフレンド社の教科書上では


「注射部位をマッサージする」

と書いてあります。

根拠として、

「マッサージをすると薬液の浸透がよく、注射による苦痛も軽減する」

とあります。



それを動画で紹介したのですが、どうもよくない評価が多いので考えてみました。


きっとよくある皮下注射で、患者さん自身の自己注射の多い


インスリン注射


が引っかかってるのではないかと。。。


なので補足します。




インスリン注射は糖尿病患者さんに、不足するインスリンを皮下注射によって投与し補うものです。
インスリン注射後は

揉んではいけない

のです。

インスリンは簡単に言うと患者さんの血糖値を下げる働きがあるのですが、
注射部位を揉むと薬剤の吸収を速めてしまい、

低血糖症状

を起こす危険があるのです。
また、薬剤の吸収速度は医学的見地によって製薬会社が計算しているのですが、
そのバランスをくずしてしまいもっとも有効な薬効を発揮できない可能性があるのです。


なのでマッサージはだめなのです。



自己注射をしてコントロールすることが非常に多い注射のため
患者指導の際にも揉んではいけないことを
十分に伝えておかないといけません。



というわけで、皮下注射後のマッサージについての補足でした。

2014年10月16日木曜日

医療と経済 第1章~たばこの税収とたばこによる疾患の医療費~

タバコ1箱の値段は平成26年現在、約430円(JTのメビウスなど)します。そのうち税金が276.73円(約64.4%)含まれています。



ですので喫煙者の中には

「おれは高額納税者なんだから」

という人が少なくありません。

しかしながら、タバコは「百害あって一利なし」といわれ、また「タバコ病」と言われるように
様々な疾患の原因ともなっています。(COPD、肺がん、咽頭がん等々)


ここで素朴な疑問

『タバコによる税収はタバコによる医療費の支出を上回っているのか』

ということです。


タバコの税収はここ15年程度はほぼ横ばいで、毎年

2兆円強

程度あります。

そこに雇用などによる経済効果が約1兆円加わり、経済効果は3兆円強になります。


 

 
では、タバコによる疾患の医療費はいくらなのか。
医療費は日本の国民皆保険制度では窓口負担は3割(75歳以上では1割)です。
のこりは健康保険と税金から払われています。
 
完全に断定はできないものの、リスク率など統計から計算すると
 
医療経済研究機構の資料より引用すると
 
喫煙による経済損失は年間7兆3000億円。実に経済利益の倍額以上の損失をしている計算になります。

  

  

           その
内訳は以下のとおり。
内訳
喫煙者の医療費
12,900億円
間接喫煙者の医療費
146億円
逸失される労働力の損失
58,000億円
火災による損失
2,200億円
合計
73,246億円

そして、上記の喫煙が与える経済利益/損失額を差し引きすると、下のようになります。
タバコによる税収
2兆2797億円
その他経済利益※
9000億円
喫煙による経済的損失
-7兆3246億円
合  計
-4兆1449億円

 実にタバコの税収をはるかに超える、毎年4兆円以上の大赤字です。
 では、全体で言うと社会的/経済的に喫煙がプラスなのかマイナスなのか。
  結論から言うと、大きくマイナスです。
 
 
 
こういった視点から見てもタバコは「百害あって一利なし」なのです。
もちろん、疾患による個人のQOLが低下することも見逃せません。
 
 
やはり喫煙は社会貢献など全くないということです。